こんにちは。院長の増田です。秋になると、焼き芋のおいしい季節になりますね。
ほくほくした焼き芋を口にすると、私たちは普段ほとんど意識することなく、「噛む」「食べものをまとめる」「飲み込む」という一連の動作を行っています。

実は、食べものは噛めばそのまま飲み込めるわけではありません。歯で細かくしながら唾液と混ぜ、舌を使って飲み込みやすいひとかたまりにします。これを**「食塊(しょっかい)形成」**といいます。
歯や舌、唾液などが協調して適切な食塊を作ることも、安全に飲み込むための大切な準備です。
ところが年齢を重ねるにつれて、噛む力や舌の動き、唾液の量、飲み込む力などが少しずつ低下することがあります。
最近、食事中によくむせるようになった、食後に咳が出る、以前より食事に時間がかかる――。
ご本人やご家族にこのような変化があれば、お口の機能が低下していないか、一度気にしてみてください。
●「むせ」は、体を守ろうとする反応です
食べものや飲みもの、唾液などが誤って気管に入ることを**「誤嚥(ごえん)」**といいます。その際に起こる「むせ」は、気管に入りかけたものを外へ出そうとする大切な防御反応です。

しかし、高齢になると飲み込む機能だけでなく、咳をして異物を排出する力も弱くなることがあります。
また、はっきりとむせないまま唾液などが気管に入ってしまう「不顕性誤嚥」が起こることもあります。
こうして、お口やのどの細菌を含んだ唾液や食べものなどが気管から肺へ入り、肺炎を引き起こすものが**「誤嚥性肺炎」**です。
肺炎の原因になる細菌は、外から来るものばかりではありません。
お口の中やのどには、健康なときでも多くの細菌が存在しています。
また、肺炎の原因菌としてよく知られている**肺炎球菌(以前は肺炎双球菌とも呼ばれていました)**も、健康な人の鼻やのどに存在していることがあります。
つまり、肺炎を起こす細菌は、必ずしも外から体内へ入ってくるものばかりではありません。
お口やのどに存在する細菌を含んだ唾液などを誤って気管へ吸い込み、それを十分に排出できない状態が重なることで、肺炎につながることがあります。
だからこそ誤嚥性肺炎の予防では、「誤嚥しないようにすること」だけでなく、お口を清潔に保ち、細菌を少しでも減らしておくことも大切なのです。
肺炎球菌ワクチンも肺炎予防の大切な対策のひとつです。
肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防する方法のひとつに、肺炎球菌ワクチンがあります。
代表的なものとして**「ニューモバックスNP」**などがあり、年齢やこれまでの接種歴、基礎疾患などに応じて接種が検討されます。
ただし、ここで注意していただきたいのは、誤嚥性肺炎の原因となる細菌は肺炎球菌だけではないということです。
肺炎球菌ワクチンを接種していれば、すべての誤嚥性肺炎を防げるというものではありません。
したがって、ワクチン接種に加えて、飲み込む機能を保つことや、お口の中を清潔にして細菌を減らしておくことも重要です。
肺炎球菌ワクチンの接種については、年齢や健康状態などによって異なりますので、かかりつけの内科などにご相談ください。
●お口を動かす習慣をつけましょう
お口の機能を保つためには、唇や舌を日頃からよく動かすことも大切です。
簡単にできる方法のひとつが**「パタカラ体操」**です。
「パ」は唇をしっかり閉じて、「タ」は舌先を上あごにつけて、「カ」は舌の奥を意識して、「ラ」は舌先を上の前歯の裏につけるように発音します。
まずは、
「パ・パ・パ・パ・パ」
「タ・タ・タ・タ・タ」
「カ・カ・カ・カ・カ」
「ラ・ラ・ラ・ラ・ラ」
と、それぞれ5回程度発音します。
そのあとに、「パタカラ、パタカラ、パタカラ……」と続けて発音してみましょう。

声を出したり歌ったりすることも、唇や舌、のどを動かす機会になります。無理のない範囲で日常生活に取り入れてみてください。
●食べる姿勢にも気を配りましょう
食事の際には、できるだけ安定した姿勢をとることも大切です。
椅子に深く腰掛け、足を床につけ、軽くあごを引いて食べるようにします。
急いで口に運ばず、一口ずつよく噛んで、飲み込んでから次の一口を食べるようにしましょう。
食べものが口に入っているときのおしゃべりにも注意が必要です。
●お口の乾燥にも注意してください
唾液は単にお口を潤しているだけではありません。
食べものを噛んで細かくしたあと、唾液と混ぜ合わせることで、まとまりのある食塊を作りやすくします。
そのため、お口が乾燥していると食べものがまとまりにくくなり、食べづらさや飲み込みづらさにつながることがあります。
こまめな水分補給を心がけるほか、お口の乾燥が続く場合には、その原因を確認することも大切です。
●誤嚥性肺炎の予防には「お口を清潔にすること」も大切です
誤嚥を完全になくすことは難しくても、日頃からお口の中を清潔にして、細菌を減らしておくことは重要です

毎日の歯みがきはもちろん、入れ歯を使用している方は、入れ歯のお手入れも忘れないようにしましょう。
また、ご自身では取りきれない歯垢や歯石などを歯科医院で定期的に清掃し、お口の環境を整えておくことも大切です。
誤嚥性肺炎を考えるときには、「きちんと噛んで食塊を作る」「安全に飲み込む」「お口の中を清潔に保つ」という一連の働きを考える必要があります。
当院では、むし歯や歯周病だけを見るのではなく、「噛む」「食べものをまとめる」「飲み込む」「お口を清潔に保つ」といったお口の機能をできるだけ長く維持することも、健康な生活を送るために大切だと考えています。
「最近よくむせるようになった」「食事に時間がかかるようになった」「以前より食べにくそうにしている」「口が乾きやすい」このような変化は、ご本人より先にご家族が気づくこともあります。
毎日の食事をいつまでも安全に楽しむためにも、お口の小さな変化を見逃さないようにしましょう。
気になることがありましたら、定期検診の際などにお気軽にご相談ください。
・・─・・─・・─・・─・・─・・─・・─・・─・・
医療法人 晃司歯科医院〒532-0002 大阪府大阪市淀川区東三国3-10-3-201(イオンフードスタイル2F)
TEL:06-6393-8282
URL:https://www.itakunaiyo.com/
Googleマップ:https://g.page/r/CZY_Z6mpxobMEAE